ティーンエイヂフアンクラヴ



自分は移り気が激しくて一つのバンドに熱中する事は稀なのだけど10代の頃に唯一「スピッツ」のファンクラブに入っていた。


スピッツのファンクラブ、スピッツベルゲン

いたと、過去形なのは持ち前のアレさで更新を忘れてしまった事、また金銭的な事情が重なって今はファンクラブに入っていないから。

そもそもスピッツのファンクラブは3つ?ぐらいあって構造が複雑で今も昔もどうなっているのか判っていない。たぶん草野さんもよく判ってないんじゃないかな。


10代の自分はというと当時のヒットチャートの音楽はすべて終わっているとある種の純情さで酷く蔑んでいて、出来るだけ誰も聴いてない音楽を聴こうと躍起になっていた。

そんな自分が合唱コンクールで歌われたり、八王子駅前で若い女100%弾き語りしてるでお馴染みのスピッツにハマったのは今でも不思議に思う。


記憶が正しければ昔にプチ懐メロブームみたいのがあってゴールデンでも普通に毒にも薬にもならない音楽番組がやっていた、気がする。

テレビっ子だった自分は気に入ったバラエティが無い時は大体それをぼんやりみていた。

そこで「ルナルナ」という曲を聴いたのがスピッツとの最初の出会いだったと思う。


https://youtu.be/ZQ7MwThStlc

(まんまこの映像だった、はず!)


今だからあえて書けるけど最初に思った事は「ボーカルの人はなんてイケメンなんだ!」というキモい感想。文化系のトップに君臨するような王子具合に完全にやられてしまった。

そして曲を聴いて「人の少ないスキー場で流れてそうな曲だな」と思った。

スキー場にロクに行った事のない自分が何故そう思ったのかはわからないけど、曲を聴いてどこか知らない場所が浮かぶのはそれが初めての体験だった。


それからは「ハチミツ」前後の時期を中心にどんどんハマっていった。

Dailymotionで違法アップロードされた当時のライブ映像を見まくったりしていた。

1996年の草野さんの写真を壁に貼ったりしていた。

ファンクラブに入った。


カノン進行だったり亀田プロデュースの影響でど真ん中JPOPだと思われがちだけど(実際そういう側面があってそれがあるからあえてこう思うのだろうけど)ティーンエイジファンクラブとかのパワーポップっぽい洋楽らしい繊細さがあってそこに惹かれたのかなと思う。

あと歌詞が全てスケベなのもニクいなと思った。


もう一つ理由を挙げるなら、母が自分以上にスピッツにハマったというのがあった。

母は青春を渋谷HMVで過ごした渋谷系ど真ん中といったような人でフリッパーやギムラさんや青木さんがいた頃のスカパラの追っかけをしていた。

家にはまだコーネリアス(母は小山田くん派だった)やプライマルのCDがあって自分もそれを聴いて育った。

そんな母はスピッツをリアルタイムでは全くスルーしていたらしいのだけど不思議と自分と同じタイミングでスピッツにハマった。

スピッツネオアコっぽい所が良かったのかね。

家族で同じ音楽を聴くのはとても良い。



スピッツのファンクラブ、スピッツベルゲンにはGO!GO!スカンジナビアというファンクラブライブがある。名称の由来とかは勝手に調べて欲しい。

ファンクラブライブといってもスピッツぐらいのデカさになるとzeppとかそういう場所でやる感じの規模感。

高校生の時に一度だけ行ったことがある。


30分前行動のつもりで早めに向かったはずなのにギリギリになってしまって駅から走った。

駅から会場が微妙に遠くてムカついた。

息を切らせて、滑るように到着するとスピッツTシャツを着た人しかいなくてギョッとした。

自分はというとアロハシャツを着ていた。

本当にファンクラブイベントという感じがして妙にボルテージが上がったのを覚えている。


意外と家族連れが多い。

いや意外ではなくスピッツは家族で聴く音楽の定石なのか?

若い男の子も多い。これが老若男女に愛されるスピッツですか、とキモい感情になる。

自分の整備番号はとっくに過ぎていたので中に入る。


スタンディングの正解が毎回わからない。

暗黙の了解で古参新参の縄張りが決まっているのでは?と一瞬脳裏をよぎるも、妙な図々しさがはたらいてかなり前の方に向かう。

物販の関係か最初は空いていたのに始まる30分前になると周りに人が増えてきた。

冷静に見渡すと自分がいるゾーンは明らかに古参といった趣のある人ばかりになっていた。

まずい!

自分だけ法網を潜ったようになっている。

SEが止まる。

ワッと湧き、ライブが始まった。


ファンクラブイベントというだけあって熱気が凄まじい。

そしてその火元は自分がいるゾーン。

とんでもないデジベルの黄色い声。

ビートルズ来日公演で気絶した人達がいたらしいけどお互いの声で脳をトばし合ったんじゃないかなと思う。

凄まじい。

名も無きファン達の20年を超える歴史がここにある。

リアルでいて俯瞰した気持ちで「田村さんってあんなに色白なんだな」とぼんやり思った。



そのライブでは「ルナルナ」をやってくれて嬉しかった。



きっとスピッツがまだ「鳥になって僕を連れて行って」と歌っていた頃から応援し続けている人もあの場にいたのだろうなとぼんやり思い返す。

自分がこれから何かに熱中し続ける事が出来るのだろうか。


10代のファンクラブの思い出。






p.s

https://youtu.be/1w-Ldki1ags

ブランキージェットシティの後ろで嘘ぐらい緊張してる草野マサムネ

自分も免許合宿の卒検の時全く同じ顔してた。